「今日にさよなら」
彼は記憶が一日でなくなる。なので、毎日自己紹介から始まり、彼が、次は覚えておけるようにと言って書いていた日記を見せる。
もう少しで日付が変わってしまう。また、彼と別れなければならない。いつものことだけれども。
今日の彼は死んでしまう、けれど生きている。
なんと残酷だろう。なんと悲劇的だろう。
傷つき合うことで愛を確かめるのは愚かにも程がある。
彼はまた、明日には自分のことを忘れている。
だから、今日の彼にさようならを告げる。
彼がつけた日記を捨てる。
一ページしか書かれていない日記を捨てる。
明日の彼は、生きているだろうか
2/19/2024, 8:29:51 AM