佐久夜の手記

Open App

どん、と音を立てて
曇天が、私の上に落ちてきた。
世界中の憂鬱を集めて空に浮かべた、
どこぞの神の気まぐれが、私の上に落ちてきた。

青空に浮かぶ雲は白く軽いのに
鈍色に揺れる雲は暗く重い。
重い雲が呼吸を妨げる。
もがけど、もがけど、息は止まる。

杞憂と笑うか?
杞憂と笑えるか?
この気の狂うような地獄を
本当に杞憂と笑えるのか?

どん、と音を立てて
曇天が私の上に落ちてきた。

風よ、私だけの風よ。
どうか、私をここから救い出して。

9/16/2021, 2:28:44 PM