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 猫とは、春の陽だまりのようだ。
 ぼんやりとした昼下がりの午後。柔らかな温もりが腹の上で丸まっている。硬い床の上で冷凍マグロのように横たる俺が少しでも身動ぐものなら、吊り目の猫さまからじろり非難される。
 日が傾く度に室温もますます低下していく。正直なところ、布団を渇望していたが猫さまの好感度が下がってしまうのが口惜しい。諦めて手足を投げ出すと、猫さまは小さく「にゃあ」とよくやったニンゲンとでも労うように満足げだ。
 猫という生き物には無限の可能性を秘めている。春のように手を伸ばしていたくなると愛おしさとか手放し難いふわふわとか。俺は改めて感慨深くなりながらゆっくりと目を閉じた。

2/9/2023, 6:45:50 AM