猫灘

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たとえ間違いだったとしても

「大先輩はなんか落ち着いてますよね」
俺はこんなにちゃらんぽらんなのに、と言うのは最近清掃業に入ってきた新人後輩だ。
「君がちゃらんぽらんかどうかは置いときますけど、落ち着いてると言うよりも無口なだけだと思いますよ」
「えー無口というか話す相手がいなかったからじゃないんですか」
「そうでしょうか」
ふむ、と一理あるのかもしれないと考える。実際後輩新人の彼が来てからは口数が増えたと自分でも自覚がある。ヒューマノイドの自分が変わっていくというのは中々奇妙な感覚で、そして面白かった。
ヒューマノイドの性格は最初に設定されたものに基づいている訳だが、それが変わっていくというのは面白い。
「そうかもしれないですね」
そう答えると新人後輩は「でしょ~」と言うのだが、自分の思考をもつことがどれほど危険かをこの時の自分は理解していなかったのだ。

4/22/2023, 11:29:55 AM