maria

Open App

「鳥のように」

容赦なく照りつける
残酷な太陽
植物たちはとうに両腕を垂らし
太陽に頭を垂れひれ伏している。

逃げ場のない乾いた土の上で
痩せたヘビが
少しでも腹を冷やせそうな場所を探し
這いずっていた。
ふわりと風を感じたので
急いで柱サボテンに身を寄せる。

舞い降りるかと思うと
方向転換して飛んでいったのは
鷲だろうか。
ヘビはサボテンの陰から
少しだけ頭をもたげると
天空の覇者である大鷲の
行く先をぼんやりと見ていた。


私にも鳥のように翼があったなら
この鉄板のような地面を蹴り上げて
空へと舞い上がるだろうに
叶うものならば鳥に生まれ変わりたい。


その時、辺りに一発の銃声が響き
天空の大鷲はもがき
その美しい羽を散らしながら
地面へと落ちていった。
猟犬たちの吠える声がする。


だんだんと光を失う瞳で
大鷲はぼんやりと先程逃した
獲物のことを考えていた。
あの蛇のように
目立たぬように地面を這うものであったなら
叶うものならば蛇に生まれ変わりたい。

蛇は音を立てぬよう
そっとその場を離れ
見つかるあてのない餌を探しに
どこかへと這っていった。


         「鳥のように」

8/21/2023, 11:38:39 AM