大洪水が起きたのも、一人の女性に処女懐胎をさせたのも、生贄の心臓を捧げたのも、小さな祈りが積み重なった果ての物語なのだと思う。
そう考えたらもっと個人的なものも、結局は祈りの果てなのだと気付く。
多くの女性を魔女と決めつけたのも、生き血の風呂に浸かったのも、生肝を求めたのも、きっかけは些細な祈りだった。
美しくいられますように。
穏やかに過ごせますように。
危険が去りますように。
病気が治りますように。
平和でありますように。
もとの祈りは本当にささやかで。
誰もが一度は考えるものなのに。
究極にまで行き着いた果ての祈りは、狂気と紙一重だ。
END
「祈りの果て」
11/13/2025, 3:08:17 PM