宵風に吹かれたい

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姉が大学生になり一人暮らしをするようになった頃、とても喜んだ。なぜなら2段ベットの2階をやっと使えるようになったから。小さな事だけど、ずっと楽しみにしていた。少し手を伸ばせば天井に届く。地から離れた場所で寝る。その特別感が欲しかった。
でも、それでテンションが上がったのは1日。いや、1時間。もしかしたら1分、、1秒かもしれない。

姉の居ない部屋が何故だか広く感じて、やけに静かだった。
私は思っていたより姉が好きだったんだな。
この2段ベットは姉と私の、2人だけの思い出が沢山ある。
どっちが2階で寝るかで争ったり、勝手に2階に上がって叱られたり。でも楽しい思い出もある。
2階の床と布団の隙間に掛け布団を挟んで、1階まで垂らす。そして1階に2人で入って「秘密基地」なんてのもした。暗闇で2人。楽しくて、幸せだった。

少し懐かしくなって1人で秘密基地を作った。でも、足りない。姉が、居ない。

2人だけの思い出。2人だけの秘密基地。2人だけの。

7/16/2025, 9:00:06 AM