『優越感、劣等感』
ときに私は思う。人を作るのは優越感なのではないかと。今回の事件も、人をこの手で屠るというこの上ない【優越感】が世間を賑わす殺人鬼を形成していたのだから。
「…もう一度聞く。なぜ六人も殺した。」
「【優越感】だよ。何回も言わせるな。六つの、尊い命があの時は俺の腕の中にあるんだ。そいつを踊らせておくも、捻り潰してぐっちゃぐちゃにするのも俺次第。この気持ちよさが分からねぇかなあ。他のやつには一生かかってもできない経験だぜ。」
この手の狂人は何人も見てきた。正直こういうやつは嫌いじゃない、むしろ好きな部類だ。だが、法の番人として裁かなければならない。
「その気持ちよさを味わったことでお前の人生は終わったわけだが、後悔はないのか。」
「あると思うか?ここは日本、死刑はこの十数年執行されていない。終身刑だろうと無期懲役だろうと獄にぶち込まれるだけ。あんなことをしたあとに無料で住処と飯が貰えるんだ。こんなうまい話はない。」
「そうか。」ドサッ
私は100ページほどもあろうファイルを取り出した。
「あ?なんだよこれ。解決事件簿?」ペラッ
「警視庁が解決できていなかった事件、且つ私が解決した事件をまとめたものだ。」
「…おい。なんで」
7/13/2023, 3:42:43 PM