小絲さなこ

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「傷の舐め合いだと、人は言う」


まるで夏のような太陽の光の気配。
カーテンから漏れる光は、私を現実の世界に引き戻してしまう。
仕方なく開けるカーテン。
手を伸ばせば届きそうなくらい低い雲は、雪のように白い。
濃い空の色が、目の奥を焼いているようだ。
眩しくて、眩しくて、私はこんな時間に何をしているのだろうと、自分を責めそうになる。

パソコンのスリープを解除。
入り浸っている文字チャットルームにログイン。
この時間だと、私と同じような状況の子たちがインしていることが多いのだ。


『雨のせいか、頭痛がー』

『事故に遭ったときの傷が痛いと思ったら、気圧か!』

天気予報アプリをチェックする。
全国的には雨の所が多く、晴れているのは一部の地域だけ。

そういえば、子供の頃『同じ国なのに、晴れていたり、雨だったりするのはどうして。空は続いているのに、天気が違うのは、どうしてなの?』って、思っていたなぁ


晴れていると気分が落ち込むのはどうしてなのか。
わかっているけど、認めたくない。認めるのが怖い。


『こっちは晴れてるよ。気が滅入る』

頭に浮かんだ言葉をそのまま打ち込み、リターン。

『あー、わかる。曇りとか雨の方が落ち着く』

すぐに返ってくる返信。


この子たちとこうして会話していると、ひとりではないと思えてくる。
これを傷の舐め合いだと言う人もいるが、それのどこがいけないのだろう。

このままではいけないと、自分でもわかっている。
でも、それをわかっているだけでも充分だと、自分に言い聞かせる。

明日は曇りだといいなぁ……


────どこまでも続く青い空

10/23/2024, 9:50:40 PM