不眠症

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「わかってたんだっ…何かを得るということは、何かを失うということだって…解ってた…本当はっ…」

それは、叫びというにはあまりにも哀しい叫びで。

ぼろぼろと溢れていく涙と一緒に、何もかも壊れていく気がして、

「それでも俺はっ…!!!!」

言葉を止めることができなかった。きっと。

「本当は、あの日あの時、確かにっ…あいつの人生は終わっていたはずだったんだっ…なのに俺が無理矢理続きを作った。俺のエゴであいつは、生きたくなかったかもしれない人生を…」

ぐちゃぐちゃになった顔と息に静かな音が乗る。

「それでも、そうしてでも俺は…!あいつがいない人生を、想像したくなかったんだ…」



【2024.6.20あなたがいたから】

6/20/2024, 11:15:34 AM