俺が今重大な岐路に立たされている。
どちらかを選ぶことで、もう一つの道は潰える。
そして、もう二度と選択をやり直すことは出来ないのだ。
「……好きです。付き合ってください」
俺の目の前には、黒髪のストレートロングの、眼鏡をかけた図書委員会の女子がいる。顔立ちはキツめだが、性格はとても可愛らしい部分があることを、普段の付き合いで知っている。
俺と彼女は図書室で知り合った。色々な本を読んでその感想を話し合っているうちに親しくなったのだ。
そして今日、彼女は俺に告白してきた。
俺は、どうすればいいのか頭が真っ白になった。
胸がドキドキする。
顔が赤くなっていくのがわかる。
しかし、俺は返事をためらっていた。
なぜなら。
その後に、元気な天パが似合う茶髪の幼馴染から大事な話を公園で聞くことになっているし、ピンク髪のツインテールの部活の後輩からは、部室で言いたいことがあると今朝言ってきた。また、背の高くてワガママボディの音楽の先生は進路相談室で待っていると言われているし、内気で人見知りのクラスメイトは、じっと俺を見つめながら「放課後……教室で」とポツリと呟いたのだ。
俺は考えた。ここで答えを出すということは……うーむ。考えたが俺はやっぱり、彼女の告白にこう答えた。
「はい」
******
今回も全員同時攻略できなかったな。
俺は大きなため息を付いて、机の上にコントローラーを置く。ついつい、彼女との親密度をまずMAXにしてしまう。
俺は画面の向こうで、本命の黒髪ストレートの眼鏡の子と付き合うエンディングを見ながら、やっぱりあの子は可愛いなとニヤけた。
お題:岐路
6/8/2023, 11:14:06 AM