よつば666

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お題『冬のはじまり』

一カ月経たないうちにまた双子の姉から手紙が届いた。前回の手紙の最後に殴り書きで書かれた。

【私(わたし)の代わりになって】

という文章を思い出し、手紙を読むことに躊躇する。
あの手紙以降姉に手紙の返信をしてない。
読まずに机の引き出しの奥へ閉まってしまいたい気持ちがある。けれどそうしないのは、もしかしたらおばあちゃん達に迷惑がかかる内容かも知れないと思うと途端にモヤモヤしてしまう。委員長は深呼吸して気持ちを少しばかり落ち着かせた。

手紙の内容は–––––––。

『双子の妹 可論(かろん)へ ねぇ、手紙届いてるよね?どうして手紙の返信してくれないの?忙しいの?やっぱり都会は楽しいのかな?羨ましいなぁ。可論だけずるいよ。“良い“思いばかりして……。ねぇ私(わたし)達双子だから、独り占めしちゃダメだよ。冬のはじまりに可論の家に遊び行くから待っててね。 優しいお姉ちゃんより』


冬の始まり……。今、7月の下旬夏休みが始まったばかりだ。となると11月の終わりもしくは12月の初めか……。どうしようかと考えているともう1枚小さな紙が封筒から落ちた。開いて見るとまた書き殴った文字で–––––。

【逃げちゃ駄目だよ】

と書かれていた。

End

11/30/2024, 8:16:50 AM