NoName

Open App

怖がり


いつも君は、僕の前を歩いている。

その背中は

強くて、かっこよくて、勇敢だ。


怖がりで

君の後ろをついていくだけの僕とは大違いだ。


君と一緒にいる時に、僕はよく転ぶ。

なんでか分からないけど

なにもないところでもつまずいちゃうんだ。


僕が転んで泣きべそをかいていると

「なにやってんだよ」って、笑って

「ほら、立てるだろ?」って、手を伸ばしてくれる。


転ぶのは痛いし、悲しい。

それでも、君の手のひらを見ると

僕は大丈夫だと思えたんだ。


今日も君は、僕の前を歩いている。

君の後ろは、やっぱり安心するな。

そう思っていると、君の体が傾いた。


君が転んだところなんて、今まで見たことがない。

もしひどい怪我をしていたらと思うと

すごく怖くなった。


どうにかしないと。

そう思った時に思い出したのは

いつも君が僕にしてくれたことだった。


「ほ、ほら、立てる…?」

精一杯、手を伸ばした。

すると、顔を上げた君は、僕を見て笑った。


「なんでおまえが泣いてんだよ」

僕の目からは

自分が転んだ時よりも、たくさんの涙が溢れていた。


その後は、ふたり並んで家に帰った。

君も、目にうっすら涙をためていたけれど

僕はそれを見ないふりをした。



今日僕は、君の後ろを歩いている。

怖がりだからじゃない。

君がまた転んだ時には、僕が助けられるように。

もちろん、今度は涙は流さずに。


こんな僕だけど、僕が後ろにいることで

君が安心して、歩くことができたらいいな。

3/16/2026, 2:39:37 PM