【あいまいな空】
「…ごめんね」
たった一言で、僕の長年の片思いは呆気なく終わった。
君が去った後の教室で、一人静かに思いを巡らせる。
君と初めて話したのは、一回目の図書委員会の集まりの日。君と話すうちに、どんどん君に惹かれていった。
…なんて君はそう思っているかもしれないけど本当はもっと前から僕は君を知っていたんだ。正直自分でも少し気持ち悪いと思うから君には絶対に言えないけど、高校に入学する前から僕は君が好きだったんだ。
中学生の時に見かけた隣のクラスの女の子。太陽みたいな明るい笑顔が素敵な女の子に僕は恋をした。一目惚れだった。
それからは君を目で追ってばかりの毎日で、話しかける勇気も持てないくせにずっとずっと好きだったんだ。
「…ごめんね…かぁ」
改めて言葉にされるとキツイなぁ、なんて考えながら帰り支度をする。
ふと空をみると、太陽が沈みかけて半分になっていた。
もうすぐ太陽はすっかり隠れて、また明日に顔を出す。僕の知らない新しい太陽として。
僕の手の届かない君は、きっとたまその笑顔で誰かを虜にしてしまうんだろう。
6/14/2024, 10:20:29 AM