ミキミヤ

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ずっと、欠けた感覚があった。何をしても満たされない空虚感を抱え続けてきた。それがあの日、君に出会った瞬間に、消えた。

引っ越しの挨拶に来た君を見て、私は衝撃を受けた。初めましてのはずなのに、懐かしい感じがして、胸があったかくなって、欠けた部分が埋まる感じがした。
君もそうだったのかな。目を見開いて私を見た君は、次の瞬間にはほほ笑んで、私に右手を差し出した。私はその手をとって、握手した。お互いに名乗りあって、よろしくってあいさつして。それ以来、私達は四六時中一緒にいるようになった。

君と一緒なら、満たされた。
私はきっと、君を探してここまで生きてきたのだと思った。

隣を歩く君の手をきゅっと握る。君は優しい目で私を見て、そっと握り返してくれる。それだけで私は、この上なく幸せなのだ。

3/15/2025, 5:53:13 AM