未知亜

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 プラネタリウムを出て、二人して空を見上げた。いま見ているのがどの方角かもわからない場所で、さっきまでと同じ画角で星が見えるわけもない。
「夜が長くなったよね」
 星座や星の話をするのかと思ったが、あまり関係ないことを君がつぶやいた。
「もうすぐ今年も終わりなんて信じらんないな。一年ってどんどん早くなってる気がする」
 知ってる? と君が続ける。幼いうちは生きてきた年数に対して一年の割合が大きいから、時間はゆっくり感じられるらしいよ。大人になるにつれて人生の20分の1、30分の1って感じにどんどん縮小されていくから、そのうち一年はあっという間に感じられるんだって。
「ふうん」
 その説は、私もどこかで聞いた気がする。でも、私の今年はどの年よりも長い。
「なに? 納得できない顔してる」
 君が笑う。
「だって、私の信じる説とは違うから」
 子どもの頃の方が時間が長く感じられるのは、出会う物事が新鮮だから。大人になるにつれ知ってる出来事が増えて対処の仕方も楽になると、その分時間の流れが退屈であっという間に感じられるって考え方もあるよ。
 そう解説すると、君は私みたいに
「ふうん」
 と答えた。
「なに? マネしないでよー」
 何万年も何億年も生きる星には、地球の一年がどう感じられるだろう。意味もない問いかけだけど、君と出会ったこの一年は、私には止まってるみたいにゆっくりで長かった。
 何万年も前の光がようやく地上に届くように。私の過ごした年数が、ある日突然いつか急に速さを増すかもしれない。星の光に包まれて私は一気に年を取るのだ。そんなふうに考えるととてもわくわくする。
「まーた、なんか違うこと考えてるな」
 君がこちらを見つめてニヤリとした。

『星に包まれて』

12/31/2025, 9:38:05 AM