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   I love you as you are
(ありのままのあなたを愛している)
            ――マザーテレサ――

1952年、「死を待つ人の家」を設立したマザーテレサは、貧困や孤独な人々を受け入れ、彼らの終末期を献身的に介助した。

路上で横たわっている浮浪者たちの、ネズミや虫に体を喰われてウジのわいた傷口を拭いながら、
彼らがどんなに不潔であったり、過去にどんな罪を犯していようとも、その今の姿のままを受け入れて、「何かをしてくれるから愛するのではない。
ありのままのあなたでいい」という意味を込めてこの言葉を残している。

「人はパンのみにて生きるにあらず」

人には愛が必要だ。あなたは一人じゃない。食事やお風呂などの物質的な介助よりも愛を持って精神的に満たしてあげることの方がはるかに重要だ。


 ……マザーテレサの偉人たる所以を垣間見て、飲んでいたコーヒーを机に戻して中空を仰いだ。
 
「おーい。」
 感傷に浸る私をさえぎって夫が声をかけてきた。
「今夜部下と飲みに行くから小遣いくれよ。」
「わかった。一万円でいい?てか一万円で済ませてきて」

「おけおけ、わかってる。サンキュー……愛しているよ。」
 
はぁ。
 ――私は大きなため息をついた。

1/29/2026, 5:33:38 PM