新しい地図
「4月を記念日にして旅行に行こう」
君がそんなことを言った。年の始めの方にある誕生日を、半ばすっぽかされて拗ねた自分に君がそんなことを言ったんだ。付き合っているわけではないから記念日という感覚は無いけれど、確かに連絡先を交換したのは昨年の今頃だったかと思い出す。
しかし、なぜだか今年の頭から、自分自身への誕生日プレゼントのような形でもう1つ仕事が増えトリプルワークになった自分に休みはない。1月には誕生日休みという名目で3連休を取っていたけれど、君がやらかしてくれたおかげで(休みなど取らなくて良かったじゃないか)とワーカホリックが加速するだけに終わった。
そんな君の冒頭の台詞。
希望と猜疑心を半々に織り交ぜて「そうだね」と返した。次は忘れずに計画を立ててくれるだろうという期待を込めた希望的観測と、いつも通りお金はないし当日になったら寝過ごすんでしょ?という諦めにも似た猜疑心。有給を使わずにシフトの調整でわざわざ休みを作ったんだよ、という独り善がりな八つ当たりも添えて。
「12時に起きる!起こしてね」
そう言って君は昨日眠りについた。今朝の5時頃の話だ。眠る時間自体に問題はない。いつも通り。自分も同じ時間に寝たから、まぁ起きられなくてもいいやと思って。
目覚めは11時で自分としてはよく寝た方だ。君は12時頃にもぞもぞと動いて何かを言ったが言葉にはなっていなかった。「起こしてね」とは言われたが、アラームを掛けているわけでもない人を起こすのは忍びなくて起こさなかった。せっかくの休日だし寝ていればいい。最悪14時までに起きなければ君を置いてドライブに行くだけだ。君と一緒に行くと楽しさが増幅するだけで、特段一人がつまらないわけではない。起こさなかったら君は怒るだろうけどね。
先月の末ぐらいからせっせと作っていた、君と行きたいところを記した新しい地図は暫く役に立たなさそうだ。
4/7/2025, 4:12:20 AM