傘をさせば意味がない雨が降ったら、立ち止まってしまう。すると、あの話を思い出す。――「雨の日だけね、泣いてもいいんだよ」彼はそう言った。「何でなの」と聞いてみる。「だって、雨が涙を隠してくれるでしょう?」ふーん。なんで隠さなくっちゃいけないのか分からなかった。ザーッと雨の音が聞こえる。そういえば、傘をさしてたはずなのに彼の顔にはツーっと水が流れていたなぁ。いつの間にか私も彼と同じように水が流れていた。雨に佇む
8/27/2023, 2:30:58 PM