幸せとは
幸せとは、という歌詞の曲があった気がする。
大切な人に降りふかった雨に傘を差せることだ、って。
自殺未遂をしたとき、駆けつけてくれた人がいた。
救急車を呼び、万が一の場合を周りに知らせ、病院まで車を走らせて会いに来てくれた。
自殺未遂をしたとき、その知らせに震えて、泣いてくれた人がいた。
そのとき、自分は、明らかに、大切な人に降りかかる雨だった。
運良く命が助かった。そのことを、その人たちがどんなに喜んだか。
その喜びに、自分がどんなに驚いたか、その人たちは知らない。
生きようとする意志は案外脆い。
その気がなければ生きられない。
毎日何かが降りかかっては去ってゆき、晴れ間をもたらすかと思えばそこから灼熱の光が差し込んできたりする。
ずぶ濡れになりながら、焼け焦げるようなにおいを放ちながら、それでも生きようとすることは、どれほど過酷なものだろう。
その中で希望があるとするなら、幸せがあるとするなら、それはきっと、瞬きほどのささやかなものでしかないだろう。
音もなく、香りもなく、している意識もなく。
でもそのことの、どんなにか尊いことだろう。
幸せとは、その尊さに気付くことだ。
(BGM:「瞬き」back number)
1/5/2024, 7:15:25 AM