夢と現実
「話を聞いてくれる?」
私ね、毎日夢を見るの。
ほとんどが悪夢。それか日常の夢。
大体保育園の時からかな。夢を見たって記憶があるのはね。苦しかったなぁ。だって、夜中に目が覚めて吐いてたし。幼少期のほとんどは悪夢だった。眠るのも怖かったし、夜が怖かったな。ほんと、なんでかなぁ~
「ふふ」 そう言って、笑う。悲しそうに…
今も夢を見るんだ。毎日。大体夢の内容は覚えている。
「でもね、でもね!最近は、覚えないようにしてるの」
「なんで?」
「えぇ~それはね、覚えても悪夢を見やすくするだけだから笑」また、悲しそうに笑って言う。
「……」
「ねぇ?君は私の想像でしか無くて、本当は居ないんじゃないの?…」
「……」
「そっか。」
僕は、そう言う彼女をじっと見つめる。
僕は彼女が言う意味が分からない。
正確には分かりたくなかった。だってそうしたら、彼女と居られなくなってしまうから…
きっと彼女が言う世界に僕は居ないのだろう。
「でも、嬉しかった。君が居てくれて」
彼女は、嬉しそうにこちらに笑みを浮かべる。
「ありがとう」
「こちらこそ」
そう言って、僕は夢から覚めた。
そう、彼女の言う夢の世界に僕は永遠には居られない。
12/4/2024, 10:38:57 AM