百瀬

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 さくり、さくり、と石灰色の砂浜に足跡を残す。細かく砕け散った事象が瓦礫に降り積もり、荒廃した世界を演出していた。

「帰れそうにないっすねぇ……」

 苦々しく呟く彼に同意する。長く留まるには不向きな環境、重苦しい空気と潮風が混じり合って気分は最悪だ。

「ま、アンタの為なら頑張りますよ」

 フードの中から端正な横顔が覗く。その目は遠く水平線の向こうを見据えている。

「帰ったら一杯付き合ってくれよな」

『尸を渡る』
貝殻

9/6/2024, 9:19:42 AM