→すまん、思い付かなかったので別の話を。
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家業を継ぐため、十数年ぶりに田舎に帰った。村の人たちは皆、俺を温かく迎え入れた。
「羊の子が帰ってきた、これでもう我々が禍に苦しめられることはない」
昔、ガキの頃に来たきりの荒れ果てた寺の境内で、俺はただ一人その時を待つ。それが、先祖代々受け継がれている生業。長子を生贄とする代わりに、俺の家系は繁栄してきた。
荒屋の外から、するする、という音が聞こえてくる……
翌朝、村の者たちがかつて寺のあったあたりを見に行くと、真っ赤な花が一輪咲いていた。
「なんだ?」
「これは…失敗だな」
「いくら血筋といっても、都会にかぶれた者は所詮よそ者だな、駄目だなぁ…」
「まあまあ大丈夫だよ、次に上手くやれば、」
「「「生贄なんて、ほんとうは必要ないのだから」」」
(生業)
7/21/2023, 2:29:45 AM