とある恋人たちの日常。

Open App


 深夜、喉が渇いて目を覚ます。
 近くに置いてあったペットボトルに手を伸ばして、水を口に含んだ。
 
 隣で眠っていた彼女が起きないのに安心しながら、俺はもう一度彼女を後ろから抱きしめた。
 
「大好きだよ」
 
 すいよすいよと眠っている恋人に、小さく囁いた。
 
 形の無い気持ちだけれど、俺の中には明確にあった。
 お互いを想い合う、なんて奇跡がここで起こっているんだ。
 
 縋るように彼女を抱きしめると、彼女の独特の甘い香りと、一緒に使っているシャンプーのにおいが鼻をくすぐる。それが俺に安心感を与えてくれる。
 少しずつ全身の力が抜けていくのと同じく、俺の意識も少しずつ遠くなっていく。
 
 ああ、君を好きになって良かった。
 
 
 
おわり
 
 
 
一三一、形の無いもの

9/24/2024, 11:30:51 AM