瀕死の主人公が放つ最後の魔法
長い戦闘の末、倒れるラスボス
『game clear』
画面いっぱいに表示される金色の文字。
「やったぁ!クリア〜!!」
テレビの前の子供は喜んで、エンドロールを見守った。
その、裏。
消えゆく魔王を勇者は見下ろしている。
残す所が顔のみになった魔王は、呟いた。
「ふッ…ふふ…どうするんだ勇者よ。
俺がいない…『恐怖の対象』を失ったこの世界で…」
重みがある声と電子音が混ざった不快な音声に、勇者は顔をしかめる。それが面白いのか、魔王はザラザラと笑いながら続けた。
「はじめは皆んなお前に感謝するだろう。
しかし…時が経つにすれその恩恵を忘れ、恩知らずの民は反乱を起こす。…そうしてお前も倒れるだろう」
魔王が目を見開く。
「俺と…同じように…な…!!」
ノイズと共に魔王は散っていった。
勇者は魔王が居た場所をしばらくジッと見つめてから、後ろで待機している仲間に呼びかける。
「帰ろう。僕たちの物語は、まだ終わっちゃいない」
5/30/2025, 1:48:06 PM