もしも君が髪が短い女の子が好きだと言ったら
迷わずこの長い髪を切るわ
もしも君がいつも笑っている子が好きだと言ったら
どんなに嫌なことがあったとしても絶対に口角を下げないわ
もしも君が頭がいい子が好きだと言ったら
部活なんてすぐに辞めて、平日も休日も毎日図書館に通って勉強するわ
もしも。
もしも君が隣のクラスのみくちゃんが好きなら。
私がみくちゃんになってみせるわ。
サラサラのタッセルボブで、白く透き通った肌。
頭が良くて友達想いなみくちゃん。
先生からも評価が高くて男女共に人気者なみくちゃん。
…私とは真反対ね。
みくちゃんが友達と笑顔で話しながら廊下を歩く。
廊下でみくちゃんとすれ違うと、君はすぐ振り返ってあの子の後ろ姿を見ている。
「分かりやすいのよ。ほんと。」
帰り道、近所の公園のブランコで私は君のことを考える。7時なのにとても明るく、家にはまだ帰りたくないという気持ちになる。
「あ、口角上げなきゃ。笑顔笑顔」
みくちゃんはいつも笑顔だった。
辛くても我慢して、努力を欠かさなかった。
沢山の人と良好な人間関係を築いて、信頼を得た。
毎日毎日勉強を続け、成績上位を保ち続けた。
みくちゃんは私の親友だった。
だが、私の好きな人が親友の事を好きだということを知ってしまい、私はみくちゃんに話しかけなくなった。
みくちゃんは私に、くるみちゃん!と笑顔で話しかけてくれたのにそれを無視をした。
あの子の努力は私が1番知っているでしょ。
私はなんて酷い人間なんだろうと自分を責めた。
「冷静になれば分かったじゃない。」
私はみくちゃんにはなれなかった。
明日、みくちゃんに謝ろう。そして、好きな子が出来たことを話そう。
君には、私らしい私を見てもらえるように努力しよう。
私も、みくちゃんみたいな努力ができる人になりたいと思った。
6/14/2025, 12:51:27 PM