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入道雲って積乱雲の俗称でね。

そう語る姿を見ながら、私はうんうんと首を縦にふった。
その反応に気を良くした彼女はニコニコと解説を続ける。

別にその話に興味があるわけじゃないんだけどな。ってちょっとだけ申し訳ない気持ちになって。
でも話は続けてほしくて。

だって、好きなことを語る彼女の顔は何時も以上に可愛いんだ。

彼女いわく入道雲が出たあとは激しい雨や雷が落ちるらしい。

興味ない話にあるふりをしてるってバレたら、私にも雷が落ちてしまうだろうか。
なんてふと考えてみる。
それとも、彼女の瞳から雨がこぼれたり、とか。
ぶるり。
ちょっとだけ背中が冷たくなった。
一旦考えるのはよそう。

そう、思っていたのに……。
陽気に語る彼女が急に話を止めてどうしたのって視線を向けてきた。
ほんと、こういうときだけ勘がいいの、勘弁してよ。

何でもないよ。って言いたかったけど、このまま隠し続けてバレてしまうことがちょっとだけ怖かったから。

「ほら、空模様怪しくなってきたから!雨大丈夫かなって思って。そろそろ帰らない?」って窓の外を指しお茶を濁してみる。

彼女の顔を曇らせたくなくて。いつも太陽のように輝いてる顔でいてほしくて。そんな彼女が大好きで。大好きだって言いたくて。でも言えなくて。

心にモヤモヤと雲がかかる。

私は実らない気持ちを抱えて今日も彼女の隣にいるのだった。

6/29/2024, 2:41:34 PM