瑪瑙

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───春爛漫の候、お元気にお過ごしかと思います。

貴方がそばにいない春。
貴方への手紙に僕は何を書こう。
僕は大学進学と同時に、県外に引越した。
そして、貴方は転勤となった。
僕も貴方も、
一緒に過ごしたあの場所にはいない。
僕らが出会ったのは、3年前の春。
校庭には満開の桜。
親密な関係になったのはそれから1年後。
僕らの接点は少なかったけど、僕は貴方が好きだった。
貴方と過ごしたあの場所は、
僕にとってはかけがえのない宝物。
満開の桜が見えるあの場所。
蝉の声が響き渡るあの場所。
鈴虫の鳴き声が聞こえたあの場所。
雪がうっすらと積もる校庭が見えるあの場所。
貴方にとっては、
なんの思い出も無いかもしれないけれど、
僕にとってはひとつひとつが思い出。
大好きな貴方と一緒の時を過ごせたあの場所。
そしてもう1つ。
僕は貴方のそばにいるのが好きだった。

もう一度、貴方に会いたい。
そんなことを書いてもいいのだろうか。
迷いながら筆を進める。
最後のひと文。
相応しい言葉では無いかもしれないが、
書かずにはいられなかった。

───貴方の笑顔が春爛漫のようでありますように。

4/10/2024, 3:18:03 PM