回顧録

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初恋を拗らせている。正確に言うと初恋は実らないと聞いたことがあったので、他に恋をしていた。そっちは拍子抜けするほどあっさりと叶い、あっさりと終わった。
そりゃそうだ、あいつへの恋を初恋にしないためのツナギに過ぎなかったのだから。
今考えると相当女の子側に失礼なことをしている。
それも懲りずに何回も。間違いなく女性の敵だ。
でももうご安心ください、第11回目の彼ヘの恋をもって一途になることを決めました。
この恋を終わらせようと思います。

そばにいれるだけで十分ーーなんてお前ほど出来たことは言えへんけど、散々振り回したことの贖罪は受け入れようと思う。
きっと俺が望めばお前は全て与えてくれる。身体も心も、命でさえも。でもそれは俺が望むからでお前の意志じゃない。
それを10年くらい前の俺は、自分だけの特権だと思っていた。お前を俺は好き勝手出来ると。
でも気づいた、お前から望まれたことは何もない。
もともとあの男にはそれほど欲がない。パブリックイメージが独り歩きしているだけで、本来人の為にしか生きられない奴なのだ。俺が作った設定だったのに、独りで歩かせている内にすっかり抜け落ちてしまっていた。とんだ役者だ、演出していた人間に、演出させていることを忘れさせるなんて。

でももう俺はあいつじゃないとダメなのだ。俺を欲しがってくれないと嫌だ。相思相愛ってそこ含めやろ。
互いが互いを求め合ってこそやろ。重い?なんせ20数年物でしてね、さらに重くすることは出来ても軽くはならない。
でもそれはおたくもそうやろ。一蓮托生って言うたもんな。
そこに漕ぎつけれたら御の字って?全然足らん。
俺は諦めるつもりは無いからな。
この恋を終わらせる前に絶対に今世でお前を手に入れる。

『本気の恋』ってやつに今度こそ向き合って、もう一度初恋を始めよう。

(ジンクスなんぞ打ち破ったるわ)


作者の自我コーナー
いつもの。負けず嫌いの彼はきっと運命にもジンクスにも打ち勝つのだろうな。

9/12/2024, 3:50:38 PM