語り部シルヴァ

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『遠い約束』

魔法や剣術、様々なスキルが使える世界で俺は勇者になった。
魔王を倒し一日中宴をさせてもらった。
次の日から俺は旅の途中で通らなかった場所を訪れた。
自分が勇者であること、魔王を倒したこと。
それらを報告する度村人は涙を浮かべながら俺に感謝していた。

...正直言うとすごく嬉しかったし、浮かれちゃいそうだった。
けれど俺だけは安心してはいけない。
少しでも魔王が復活した時のため...最悪の場合を考えておかなきゃならない。

だから俺は各国の臨時教育係になったり、国の王ともしもの話をしていった。
だが...やはり歳には敵わない。
老いていく身体に自身の限界を感じる日々になった。

死ぬ間際にこの世界に届くように手紙を残した。
「もしもの事のために日々の鍛錬を怠らないでおくれ。
私が消えたら次自分の国を救うのは自分だ。」


勇者が魔王を倒してから数百年。
文献によれば勇者の最後の手紙の内容から各国は平和の維持を目指し、日々鍛錬しているのだそう。

昔からの約束を守れているからこそ今がある。
もしも努力を怠った国があるとすれば...
その国は、一瞬で滅ぶだろう。

我々復活した魔王軍の手によって...

語り部シルヴァ

4/8/2025, 11:37:56 AM