お昼時間、中庭に向かうと
先に彼女はベンチに座っていた。
隣に腰をかけると彼女もこちらに気がついたようだ。
「古川さん、こんにちは。」
「先生、こんにちは
今日の天気はどう??」
「うん、今日は晴れだ。
雲が少なくて青が綺麗だよ」
この何気ない会話が僕と彼女の日課である。
目の見えない彼女と出会ってから数ヶ月、
僕は空をよく見るようになった。
「天気がいい日ね、
でも少し風があるから天気が悪くなるのかも」
風に吹かれている髪を抑えて、
目をつぶったまま自然を感じている横顔は
いつか消えてしまいそうな、そんな美しさだった。
「そうだね、今日はもう戻る?」
「…もう少ししてから戻りたいな」
そう言って空に顔を向けた彼女は
何を思い浮かべているのだろうか、
タイトル:空を見上げて心に浮かんだこと
7/16/2024, 5:02:17 PM