『heart to heart』
「待って!」
文化祭以降どことなく素っ気ないクラスメイトに
いい加減嫌になって俺を置いてどこかへ行こうとする
クラスメイトを呼び止める。
「...何?」
だるそうに振り向くクラスメイトに怖気付くも
言葉を腹から引っ張り出す。
「俺!ちゃんと話がしたいんだよ!」
「やっても無駄だと思うから話をしないんだよ。」
聞く耳を少しでも持ってくれるなら...
「文化祭でのバンド良かったよ!
これからもやっていこうよ!」
「...結局ごっこ遊びみたいなレベルじゃん。
俺はもっと本気でやりたいんだよ。」
「なら!もっと本気でやり込んで楽しみながらやろうよ!」
「本気...?やったことも無いくせに知ったような口を...!」
「あぁそうさ、バンドなんて文化祭前が初めてだった。
けど知ったんだ。お前と演奏したあの曲がずっと
心に残ってる...!お前もそうだったはずだろ?」
その言葉にクラスメイトは顔を伏せる。
確かにあの時完璧とは言えなかったけど
あの時のクラスメイトの顔は満たされていた。
あの顔をもっかい見たいんだ...!
「本気で...俺もやってみたい。連れてってくれよ。
本気の先にある景色を...」
言いたいことは言った。
恐る恐る顔をあげる。
ため息をついて頭をガシガシしながら...
「...無理だと思ったら放っていくからね。」
差し出された手を勢い握り「上等だ」と返す。
語り部シルヴァ
2/5/2025, 11:29:05 AM