8木ラ1

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「じゃあ、行ってくるね」
そう声をかける彼。私はこくんと頷いた。
泣きじゃくったのが丸分かりな瞼に、つい笑ってしまう。
「今までありがとう」
そう言い放つと、彼はまた目尻に涙を浮べた。
そんな姿をされたら私まで悲しい気持ちになるじゃないか。
私は溢れ出そうな感情を我慢して、大好きなその姿に頭をこすりつける。するとがくんと膝から崩ちる彼。
「ごめん、ごめんね」
そして手のひらで懸命に涙を拭いながら、弱々しく謝っていた。
指の間から見えるきらきらとしたその涙。私はそっと彼におでこを合わせる。
いつもなら反応するが、今日は何をしても泣きじゃくるままの彼。いや、今日だけじゃなくこれからもだろう。

私はそんな彼のおでこに口付けをして呟く。

「にゃぁ〜」

泣かないで


そんな声はもう届かず、私はただひたすら頭をこすりつけるだけだった。

11/30/2024, 12:32:11 PM