『君と見た虹』
帰りが遅くなったが
傘を忘れた僕は、
ひとりの優しい 彼女の傘に
入れてもらった。
頭半分ほどの身長差だったが、
彼女の顔は近く、
歩くたびに心臓の音が聞こえる。
右肩に当たっていた雨粒は無くなり、
今しがた空は明るくなり、
陽の反対には大きな光の輪ができていた。
きれいだね なんて声を掛けられ、
さらに鳴り止まなくなる心臓。
虹色の光は、まさに祝福しているようで。
君と見た虹。
それが、最初で最後の初恋だった。
10年後にも、
あの虹を、 君と見た虹を、
また見られるなんて。
2/22/2025, 7:48:47 PM