カチ カチ───
時計の針が進む。
『開始っ!』
張り切りのある先生の声で皆一斉に答案用紙を捲る。
スラスラと書き始める周りの音に、気を取られる。
教室に足を踏み入れたとき、周りの皆が頭の良いまるで天才のように見えた。
その天才と今、私は戦っている。
数学──。
この問題、なんだったけと頭を張り巡らせる。
公式、代入の仕方、途中式、図形の描き方全てがわからなくなってくるような気がした。
答えがあっているか、回答がズレてないか何度も見返した。
英語は単語帳をあんなにボロボロになるまで使い古したのに、それが無意味だったかのように感じるくらい単語やその意味を思い出せなくなった。
時計の針の音、隣に座っている人の咳、ペンの音、次々と問題用紙を捲る音、全てに気を取られていた。
その後もあの今までの努力が全て嘘のように結果に対しての手応えが感じられなかった。
面接も、せっかく用意してきた回答が頭が真っ白になってできなかった。
自分でも解っていた。
落ちた、と。
あの時もっと時間配分に気をつければ、周りに気を取られなければ、確実に受かったのに。
あの日は何故かお腹が空いていたのに、今は食欲が湧かない。あの日の方が絶対に緊張していたはずなのに。
時計の針を巻き戻したくても、もうあの瞬間には戻ることはできない。
だからこそ、あの時、あの瞬間に1秒でも問題を理解して解いていれば努力していれば今笑えていたのかもしれない。
後悔先に立たず、とはまさにこの事だと思った。
時計の針は巻き戻せない。それは、自分の受験番号がまぐれで書かれていてもきっとそう思うはず。
だから今、頑張れ受験生──頑張れ、私──
2/6/2026, 7:21:45 PM