はと

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私の好きな人には、好きな人がいる。
しかも悲しきかなそれは私の大好きな友達らしく。
いやまあ可愛いけど。わかるけど。

「はぁー、しんど」
「どうしたんだよ」

私の心情なんか知る由もなく、私の好きな人はそんな問い掛けを投げてくる。
無神経か、殴るぞ。
とは言える訳もなく、私は大きく伸びをして「なんでもない」と言葉を返した。

「アナタには関係ありませーん」
「腐れ縁だろ、教えろよ」
「いやでーす」
「なん、」
「ごめーん!待たせたぁー!」

他のクラスの私の大好きな友達が、急いで走ってきたのか息を切らしながら私の所へやって来た。
そんな友達に「大丈夫だよー」と笑いながら手を振って、ちらり、と目線を彼へと移す。
あー、そう。その目。絶対好きじゃんね。彼女の事ね。
その視線に彼女は気付かないのか、私に抱き着いて「ごめんよー」と謝りっぱなしだからその頭を撫でて「クレープ奢ってよー」なんて他愛のない話をして、彼を置いて二人で一緒に歩き出す。

ああ、私は彼が好きで。
彼は彼女が好きで。
彼女は私が好きなんだから。
やるせない気持ちでいっぱいだ。

「やるせない気持ち/20240825」

8/24/2024, 7:16:10 PM