長く続いた裁判も今日で終わる
被告人 剛立 猛々史(ごうだつ たけだけし)の最終判決が今、確定しようとしていた
被害者 伸火野 美太(のびの びた)は緊張しながらも、強い意思で被告人を見つめている
検事 皆素 烈日(みなもと れっか)は、どこか確信めいた瞳で静かに佇む
弁護士 本音仮話 常夫(ほんねかわ つねお)は少しの悔しさをにじませているが、できることはやりきった、という表情だ
被告人 剛立 猛々史は、無罪は無理だと思いつつ、しかし、勝利を確信したかのような余裕の態度を崩さなかった
今までも、彼はやり手の本音仮話の弁護により、常勝とまでは行かずとも、軽罰で済ませてきたのだ
全勝はしていないが実質上の不敗
伸火野が逆らってきたのは予想外だったが、今回もたいしたことはないだろう
そう考えていた
いよいよ、裁判官 寅 左衛門(とら さえもん)が判決を言い渡す
「被告人 剛立 猛々史は、嫌がる被害者から無理やりこ◯亀全巻を借り、そのまま逮捕に至る一年間、返却しないという悪質な借りパク行為を行った
また、ジョ◯ョの既刊全巻も借り、そのまま十ヶ月間返却しない借りパク行為をするだけにとどまらず、友人に自分のものだと嘘をついて又貸し
返さなくてもいいなどと言い、行方不明となる原因を作った
大切に保存していた被害者の精神的苦痛は察するに余りある
また、被告人はその後も、しょうがねえだろ、借りたこと忘れて自分のだと思ったんだから、などと笑いながら周囲に話しており、反省の色もなく悪質極まりない言動であり、酌量の余地はない
また、前科も複数あり、更生しているとは言い難い
これらを踏まえ被告人には、くさや、シュールストレミング、サルミアッキ、全部食べきるまで帰れませんの刑を下す他ないと考える」
法廷内がどよめいた
被告人、弁護士、傍聴人
法廷内にいる多くの人々は、一週間納豆パクチー生活の刑で済むのではないか、と考えていたからだ
しかし、検事と被害者にとっては予想通りだった
被告人はあまりにも多くの罪を重ねすぎた
そして、今回は特に悪質性が高いと判断されたのだ
エリート弁護士 本音仮話の実力を以ってしても、更生の意思がなく、さらに悪質な罪を重ねた剛立を軽罰で済ませることはできなかったのである
今回下された判決は、非常に恐ろしいものだ
過去には、非人道的だとの批判も上がったほどである
これまで、この刑が執行された全ての罪人は、強烈なトラウマを植え付けられ、二度と悪事はせず、狂ったように社会奉仕活動に邁進するようになったという
この刑を受けることで、被告人 剛立 猛々史が重ねる罪も、これで最後になるだろう
5/27/2025, 11:25:13 AM