「この戦いで私は命を落とすことになるだろう」
長閑に揺れる木陰の静けさの中
貴方の言葉に、私は絶望に突き落とされた
どうして、なんて聞くまでもない
花の国である私たちの王国が
猛炎を司る火の王国に敗北することは明らかだった
「怖くないのですか」
その場を繋ぎ止めるだけの言葉が宙を舞う
貴方は優しく私を抱き寄せ穏やかに答える
「怖い。ただ貴女と会えなくなることが
どのような苦しみ、死よりも恐ろしい」
視界が滲み悲しみで心が壊れそうになる
けれどその瞳を見つめ、いつものように微笑んだ
「ずっと貴方を愛しています。次の人生でもきっと
二人で幸せな最期を迎えましょう」
貴方は静かに目を閉じて、私の言葉に頷いた
きっと悲しむことなんて何もない
木漏れ日の跡に続く光は二人の誓いを知っている
11/15/2025, 3:58:49 PM