【言葉はいらない、ただ…】
私はどうも、話すのが不得手らしい。
学校で友達とバカなこと言って、はしゃぎ合う。
でも自分が発端になることは少な目だ。
小さい頃から遊んでくれたうさぎのぬいぐるみも、あの三本アームが運命的な出会いをもたらしてくれたシマエナガも。
大好きだ。でも、言葉には出さない。
夜、布団の中でいつも抱きしめる。その不思議な安心感の中では言葉など不要だと思う。
ふと本を置き、重くなったような左腕に目をやる。
嗚呼…………
寝ている彼はどこか精悍だけど儚げであってかわいらしい。サラサラな髪と長い睫毛が目元に影を落としていてるのがなんか色っぽい。かわいー。
細い前髪に触れてみる。
癖毛の私にはこの髪質がとにかく羨ましい。
綺麗だ。
この空間に何も言葉はいらないだろう。
8/29/2023, 11:41:02 AM