その朝は寒かった。いつもより遅い時間に目覚めた私は、布団の中と外の温度差にうんざりしながら身体を起こした。
今日は休日。これから映画を観に行く予定だ。
枕元に置いた着替えを引き寄せる。
下半身を布団に突っ込んだまま、もそもそとパジャマのズボンを脱ぎ、防寒のためのタイツと、靴下を履き、黒のスキニーパンツを身につける。
上半身は、両腕でパジャマの裾を掴み、上に持ち上げてガバリと脱いだ。途端に肌に冷たい空気が接触して、ぶるりと震える。慌てて下着とシャツを身に着けて、更にその上に青いセーターを着た。セーターはふわふわとして暖かい。ホッと息を吐いた。
大きく伸びをして、朝食を食べるために立ち上がる。布団は適当に畳んで、部屋の隅に寄せた。脱ぎ散らかしたパジャマは、洗濯物のかごの中へ入れる。
トーストとインスタントのコーンスープを食卓に並べた。
「いただきます」
と手を合わせて、食べ始める。
テレビを点ければ、今日は今年一番の寒さだとか、感染症に注意!だとか、そんなニュースがやっていた。
10分くらいで朝食を食べ終えたら、歯磨きをして、ドレッサーの前に座り、メイクをした。
今日のセーターの青と似た系統の色を意識して選んで、目元を彩る。
メイクを終えたら髪を整えて、最後に改めて鏡の中の自分と向き合う。
「よし、今日もいい感じ!」
鏡に向かってニッと笑って、立ち上がった。
コートとマフラーを身に着けて、鞄を持って、お気に入りの靴を履いた。
玄関前の姿見で最終確認して、玄関を出る。
鍵を閉めて振り返ると、気持ちのいい青空が視界に入ってきた。カラッとした冬晴れだ。それが、今日着たセーターと同じ色で、ちょっとうきうきした。
今日も良い日になりそうだ。
11/25/2024, 8:36:46 AM