てん

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【半袖】

「うぅ、寒い。」
それはある真夏日のことであった。
外にいれば熱中症になることは明白。
そうなれば室内にいるしかない。
そう思って室内にいくと涼しかった。
身体中の熱を冷やしていく空間は気持ちが良かった。
しかし、しばらくしてその気持ちは終わりを迎えた。
あれだけ気持ちの良かった空間が、突如として私に敵意を向け始めたのだ。
体温は徐々に下がり始め、身体は震えだした。
「寒い。」
猛暑の日である。上着などは着ておらず、着ているのは半袖であった。
寒さが身体を支配した頃、私はもう一度外に出ることにした。
「暑い。」
先程まで冷えていた身体が再び熱を持ち始める。
額には汗が滲んできた。
「もうダメだ。」
暑さを全身で感じながら、逃げるように室内へと入っていった。
そしてまた、身体を冷やすのだった。

次の日、私は風邪をひいた。
半袖だけでは私は夏を乗り切れなかったようだ。
その日、私はカバンの中に上着を入れてからベッドで眠るのだった。

5/28/2023, 1:28:38 PM