『重なりの刻』
時計塔の鐘が、静かに十二回鳴り終えたとき、街は一瞬だけ息を止める。
その瞬間、長針と短針がぴたりと重なり、時の流れがわずかに揺らぐ。誰も気づかないほどの微細な震え。だが、彼だけはそれを感じ取った。
風見凪(かざみ なぎ)は、古びた時計職人の家に生まれた青年だった。彼の家系は代々、時を読む者として知られていた。だが凪は、針の動きよりも、針が重なる“瞬間”に魅せられていた。
「針が重なるとき、過去と未来が交差するんだよ」
幼い頃、妹の澪(みお)がそう言って笑った。彼女は風のように自由で、虹のように儚かった。ある日、澪は突然姿を消した。誰も理由を知らなかった。ただ、凪だけが知っていた。彼女は“重なりの刻”を探していたのだ。
それから十年。凪は街中の時計塔を巡り、針が重なる瞬間に耳を澄ませ続けた。風の音、鐘の響き、そして…微かな声。
ある冬の夜、凪は古い時計塔の頂で、風に乗って届いた声を聞いた。
「凪…ここだよ」
振り返ると、そこには澪が立っていた。変わらぬ笑顔。だが、彼女の足元は透けていた。
「私はもう、時の向こう側にいる。でも、針が重なる瞬間だけ、君に会える」
凪は言葉を失った。澪は微笑みながら、懐中時計を差し出した。
「この時計の針が重なるとき、私はまたここに来る。だから、忘れないで」
そして澪は、風に溶けるように消えた。
それから凪は、毎日その懐中時計を見つめながら生きた。針が重なる瞬間、風が吹き、澪の声が届く。
時は流れ、凪は老いた。だが、彼の手には今も懐中時計がある。針が重なるたび、彼は目を閉じ、風に語りかける。
「澪、また会えたね」
そして、風が答える。
「うん、また会えた」
∠( ˙-˙ )/ヨシャ!今日もまだまともの再会系書けました!
今日は私はグミを食べながら書いてました(・ω<)
ちなみにラムネにはブドウ糖っていうのが入ってるんですけど、それが睡眠を妨げる可能性があるんですよ(≧∇≦*)
だから受験とか、就活の人にはチョコとかよりラムネを渡してあげると良いですねd(≧▽≦*)
てなわけで書き上げ時間.なう(2025/09/24 21:46:21)
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9/24/2025, 12:46:24 PM