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「街の明かり」

夕暮れ時に飛び立った飛行機はすっかり夜になって到着する。1時間半の飛行時間は慣れてくると短く感じる。

空港に近づくと小さく見えていた街の明かりが次第に鮮明になる。光の連なりに見えていた道路は車が一台一台識別できるまでになる。黒々としたところは田んぼか里山だろう。ポツンポツンと建物が見える。所々まとまった光は住宅街だろう。

すっかり慣れた光景だが、いつも思う。人間とは光を発する生き物なのだと。ホタルなどの例外もいるが、人間とは根本的に違う。人の体が発光するのではないからだ。人は火を手に入れてから決定的に他の生き物と違う道を歩いてきた。

その恩恵と災厄で人間を引き裂く。そういう歴史しか残っていない。恩恵だけに留めておけなかったのか。

明かりの下には必ず人の営みがある。穏やかで幸せな営みであってほしい。

7/9/2024, 4:14:26 AM