昨夜、彼女と電話で大喧嘩した。
次の日の朝、彼女から届いたLINEには、
「あなたを殺してあげる」
目を疑ったが、間違いなく彼女からだ。
彼女と約束していた週末の旅行が、僕の仕事で行けなくなった。
早朝からの仕事で、断れそうにない。
彼女は昨夜の電話で、
「そんな仕事、誰かに代わってもらうか、午前中のうちに終わらせるとか、出来ないの?」
とか言ってきた。
無理言わないでくれ。
それじゃなくても僕は、朝が弱くて、起きられるかも心配なのに。
続けて彼女からのLINE。
「どんな方法がいい?」
そんなの、僕に決めさせないでくれ。
彼女がこんなにクールな殺し屋だったとは。
殺人予告も板に付いて、一介のOLとは思えない。
その後の彼女からのLINEは怖くて開けなかった。
いくつか届いていたが、自分の殺され方を描写しているようなメッセージなど読んでいられない。
仕事を断って彼女と旅行に行こうか。
いやいや、殺し屋の彼女とこれからも付き合っていけるのか?
一方彼女は、途中から既読が付かない彼へのLINEに、少し焦りを感じていた。
「打ち間違えたの。殺してあげる、じゃなくて、あなたを起こしてあげる、ね。モーニングコールでも、前の夜から泊まりに行ってもいいし。方法はあなたが決めて。…ねえ、既読が付かないんだけど、大丈夫?」
9/1/2024, 1:06:48 PM