「サン、ジャスティス、ハーミット。…あとは、あった。エンペラーとハイ・プリーステス…」
床に散らばってしまったカードを手繰り寄せる。
久方ぶりにタロットでもしようと思ったのだが、カードを切っている最中、力加減を間違えた。
生粋の不器用故、こういうことはよくある。
不器用というのは連鎖するのだろうか。
手先以外にも、運動音痴やらリズム音痴やら、色々な不器用がこの体にはある。
それだけならまだ笑えるのだが、生き方も不器用とくるのだから…。
──不器用まみれな人生である。
落としてしまったカード達に「ごめんね」と声をかけ、ここ最近の事を思いながらカードを切りなおす。
やれ、あれで良かったのか。
もっと良い選択肢があったのではないか。
過去の行いは、本当に正しかったのか。
尽きない疑問を受け、カードがシャッシャッと擦れていく。
満足いくまで切り終えたら、一つの山から目分量で三つの山を作り、分けた順番とは異なる順でまた一つの山に戻す。
今日行うのはワン・オラクル。
山のトップにきているカードが、質問の答えになる。
とてもシンプルな占いだ。
カードを引くと、温かみのあるオレンジ色が目に飛び込んできた。
【サン:太陽】。
先程落としたばかりのカードが出てくるとは。
今回は正逆は問わないので、太陽の正位置の意味を早速付属の本で調べる。
カードを見ただけで読み解ければ格好良いのだが、まだまだそこには至らない。
読み解く修行が必要だ。
太陽のカードがもつキーワードは、「自分自身」「アイデンティティ」「意識」「魅力」「あるがまま」【成功】。
カードを持ったまま、空中を向いて暫し思案する。
手元では、太陽が意味深な顔をしてこちらを見ている。
合っているか、まだ疑問は残るが、
何やら【成功】したようである?
ポンコツ占い師もどきでは、カードの真意を読み解けないのであった。
「過去が成功?」
「成功が過去?」
「ん?」
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太陽
8/6/2024, 2:44:13 PM