「ついてきて!」
僕の手を引いて歩きだしたのは、僕の片割れだった。
いつもついて行くだけだった。小さい頃から、彼と
一緒に見てきた景色は常に晴れ晴れとしていた。
彼といることは幸せだった。ついていけば正解
だったから。でも今日からは、彼と別々。同じ道を
選ばなかった僕たち。
「ひとりでもちゃんとやってね」
僕のせいでお節介になった片割れがそう言う。
「もちろん。」
僕は自信満々に返事をした。
「「またね」」
声を揃えて僕たちはそう言った。
僕たちは、僕たちのために。
さぁ、まだ見ぬ世界へと歩み出そう。
6/27/2025, 1:35:43 PM