遠くの空は今日も雨が降る。ところによっては雷が落ちている。
遠くの宇宙〈そら〉は見て見ぬふりして時が過ぎるのをまっている。
助けて、助けて、助けてと乞う声が聞こえても耳を塞ぐ。手を差し伸べる事さえしない。
飛び火が怖いから、生きることが精一杯だから何もしない。
前の人が倒れても、助けない。
けど、ある男は立ち止まって手を差し伸べる。
可笑しい。偽善者。道行く人は軽蔑に満ちた眼差しを男に向ける。だが、男はどこ吹く風で倒れた人物を助けた。
小さな変化をみただけで、感じただけで、人はそれを否定する。この空の人物達は特に敏感に感じる。
男は軽蔑に満ちた眼差しを背に堂々と歩く。
遠くの空は今日も雨が降るけれど、男は前向いて歩いていく。
どれだけ周りとの摩擦を受けても。
8/16/2025, 4:03:13 PM