【ないものねだり】
あの子が羨ましい
笑顔で
優しくて
いつも中心にいる
太陽のようなあの子が
私はあの子になりたい
誰かの顔色を伺い
頼ることも出来ず
いつも1人隅に取り残された私
こんなんじゃ真逆じゃないか
あの子はこんな私ですら照らしてくれる
あの子がいなければ
私は光る事も出来ず
宇宙をさまよっている石ころと変わらない
いつしかあの子にこぼしてしまった
「羨ましい」
あの子は驚いていたけれど
それも一瞬
優しく笑ってあの子は言った
『私も羨ましい』
優しく寄り添ってくれる月のような私になりたいと
初めて知ったあの子の本音
私達は互いに羨み、憧れていた
雲ひとつない夕焼け空に2人の笑い声が溶けていき
月と太陽が互いに見つめ会うように浮かんでいた
結局ないものねだりだったんだ
私は私で誰かになることなんかできない
でも誰かが私になることも出来ない
それでいいんだ
私の代わりも
あの子の代わりも
誰一人として存在しないのだから
3/26/2024, 1:00:04 PM