穏やかな風が吹いている。僕と彼は今日に限り、風の当たる場所で過ごしていた。会話中に突然、強い風が吹いた。とっさに目をつぶる。風が緩み、目を開ける。そして、顔に手をかざして風をしのいでいたらしい彼も落ち着き、会話の続きをしようとした時。風の尾が、彼の長い前髪を持ち上げ、隠れていた瞳が覗き、初めて、目が合った。…嗚呼、こんなにも美しいものが、近くにあったとは。これは、風のいたずらに感謝しなければ。【風のいたずら】
1/17/2025, 11:38:48 AM