『怖がり』
昔から、いろいろなものが怖かった。
暗闇が怖い、物陰になにかが潜んでいそうで怖い。
そしてなにより、人が怖い。
昔から人というのが苦手だった。
普通に話していたと思ったら突然怒り出すなどはいい、なにもしていないはずなのにものを無くされたりしたこともある。
相談してそれがバレたらと思うとそれも怖くて誰にも言えない。
怪我をするような目にはあわなくても、心は別だしつらいものはつらかった。
だから、いまでも人は怖いままだ。
「人見知りの幽霊のウワサ知ってる?」
「なにそれ」
「なんかね、気配はするんだって。でも絶対姿は見えないの」
「変なの」
「姿を見ようとして近付くと逃げちゃうんだって。変だよね」
「そんなの全然怖くないじゃん」
「だよねえ、だからきっとすぐに噂も消えちゃうよ。らでもそのほうが幽霊には楽なんじゃない?」
「そんなこともあるかもねえ」
3/17/2024, 6:02:11 AM